こんにちは、フィギュア買取研究所のこーりーです。
フィギュアの「アニメ塗り」ってご存じですか?
世の中に「よりリアルに」再現されたフィギュアが増える一方、実はその逆に「よりアニメの世界観に」よせるように3Dフィギュアを2D化する方法もあるんです。
それが「アニメ塗り」と呼ばれるもの。
筆一本でフィギュアをリペイントする方法の1つですが、「難しそう…」「センスがないとできないんじゃないか?」「そんなことして大丈夫なの?」
そんな風に思ってしまうこともあるかもしれません。
今回は、このフィギュアの「アニメ塗り」について、揃える道具の種類や基本的なリペイントの流れなど、初心者向けに解説していこうと思います。
新しいフィギュアの楽しみ方の1つとして、この記事がお役に立てば幸いです。
フィギュアの「アニメ塗り」とは?
「アニメ塗り」とは、フィギュアのリペイント方法の1つです。
すでに完成された塗装済みのフィギュアの上から、筆一本でアニメのタッチのように線入れや陰影を加えることで、まるで平面画像を見ているようなフィギュアが完成します。
出来上がったフィギュアはまさに目の錯覚を起こさせるほどの2D化!
原作に忠実でありながら2D世界から飛び出してくるアニメキャラクターたちの姿に心を奪われます。
あまりの美しさに目が離せなくなってしまうこと間違いありません。
フィギュアの「アニメ塗り」の基本
「アニメ塗り」されたフィギュアを手に入れる方法は2つです。
- リペインターさんの作品を購入する
- 自分でリペイントに挑戦してみる
ここでは、初めて「アニメ塗り」に挑戦する方向けに、最低限必要な情報をまとめています。
リペイントの世界は奥が深く、リペインターさん達が様々な方法をSNSでも発信しているので、これからお伝えする情報はぜひ最初の足掛かりにしてみてください。
「アニメ塗り」に必要な道具とは?
まずは初心者でも始めやすいように、アニメ塗りで最低限必要な道具をまとめました。
参考にさせていただいたのはMAマンch。の動画です。
- 筆(小サイズ、細サイズ、極細サイズ)
- 塗料(ラッカー塗料がおすすめ)
- 塗料の薄め液(ラッカー塗料を使用する場合はラッカー塗料専用の薄め液が必要。)
- 塗料皿
- キッチンペーパー(筆拭き用)
- ブラシウォッシャー
- ツールクリーナー(塗料の薄め液でも可)
- トップコート(塗装表面の保護、ツヤ出し、ツヤ消し等)
- 持ち手(クリップ式:フィギュアを塗装する際や乾燥する際に使用)
- 乾燥用ステーション(持ち手を固定しフィギュアを乾燥させる土台)
上記「2」の塗料に関しては、まずは最低限陰影の元となる白と黒、そしてリペイントするフィギュアの色を揃えてみましょう。
このように、これら10点の道具をそろえることで初心者でも簡単にリペイントできるので、ぜひご参考ください。
初心者におすすめのフィギュアリペイント教材の選び方
道具をそろえたら、さっそくフィギュアに色付けを!と言いたいところですが、大切なフィギュア、どこにどう色入れすればいいのかわからないですよね?
こちらでは「アニメ塗り」初心者でもわかりやすい教材をご紹介していますので、ぜひご参考ください。
筆一本から始める!アニメ塗りフィギュアの教科書
「アニメ塗り」といえば!代表的なものがこちらの「筆一本から始める!アニメ塗りフィギュアの教科書」です。
著書は人気フィギュアリペインター兼YouTuberとして人気の高い「MAマン」さん。
フィギュアの「アニメ塗り」に特化した塗装の入門書になり、初心者でもわかりやすく解説されているのが特徴です。
さらには、書籍だけではわかりにくいポイントは動画で確認できるのもうれしいポイント。
著書のMAマンさんは有名なYouTuberでもあるので、YouTubeと合わせて観ることでより理解度が深まります。
リペイント初挑戦であれば、あれこれといろんな書籍を購入するよりは、こちらの書籍1冊から始められてみてはいかがでしょうか?
MAマンさんとは何者なのか?
MAマンさんとは、日本で活躍するフィギュアリペインター兼YouTuberです。
フィギュアのリペイントで表現できるイメージは様々で、
- 3次元フィギュア→2次元化(アニメ化)
- 3次元フィギュア→リアル化
- 3次元フィギュア→ドット化
- 3次元フィギュア→JOJO化
- 3次元フィギュア→アメコミ化
と、多くのフィギュアに新しい命を吹き込んでいます。
なんと、こちらの銀郎伝説に登場するテリー・ボガードのフィギュアは、世界初のドットデザインのフィギュアです!
画像を見てもわかるように、まるで昔のドット絵のゲームを思い出しませんか?
このドットキャラクターが実は3Dフィギュアだとは、実物を見るまで信じれないでしょう…。
このように、まだ世の中に広まっていない新しい方法で「魅せるフィギュア」を生み出し続ける、勢いのあるMAマンさん。
これから「リペイントに挑戦してみよう!」と思うのであれば、ぜひ参考にされてみてください。
MAマンさん以外の有名な「アニメ塗り」ペインターさん
今や注目を集めている「アニメ塗り」。
ご紹介したMAマンさんは有名ですが、他にもたくさんの方がSNSにリペイントフィギュアの画像をアップしています。
その中でも今回は3名のリペインターさん達をご紹介します。
@l2Po3QMEtZd19wrさん
annkoromotiさん
@kyo512aさん
今回ご紹介したのは全てガンプラですが、どれもまるで平面のようでありながら、実際は立体的という…まさに脳がバグったかのような不思議な作品ばかりです。
個人的には、アニメに忠実なフィギュアの方が、二次元の世界から現実世界に飛び出してきた感じがして好きです。
今や多くのリペインターが画像や動画をアップしているので、ぜひチェックしてみてください。
フィギュアの塗料と筆塗りの基本知識
ここではリペイント初心者でも分かるように、リペイントの基本となる「塗装」と「筆」について詳しくご紹介します。
道具をそろえたくても
「何を基準に選べばいいのかわからない…」
「道具を買ったはいいけど使い方がわからない…」
そんな時にぜひ役に立つはずです。
塗料の種類
フィギュアの塗装やリペイントで使用される代表的な塗料は「ラッカー塗料」です。
代表的な塗料は大きく3種類に分かれるので、以下のメリット・デメリットの表を参考に、ぜひ好みに合った塗料を選んでみてください。
- ラッカー塗料
- 水性アクリル塗料
- エナメル塗料
メリット | デメリット | |
ラッカー塗料 | 色がはっきりと乗りやすい 下地の色の影響を受けにくい 乾燥後キズがつきにくい 乾燥が早い | 水で薄めることができない。 ※専用の薄め液が必要。 シンナーのにおいがきつい。 ※換気が必須! |
水性アクリル塗料 | 水で薄めることができる においが少ない 伸びがいい | 下地の色が残ることもある |
エナメル塗料 | 伸びがいい 汚し塗装などで部分的に使用 | 最も乾きが遅い 乾燥後のキズや塗装剥がれがしやすい ※直接プラスチックパーツに塗るとパーツが割れる原因になるので注意! |
1つ注意点があります。
それは、もし塗料を組合せで使用する場合は、水性→エナメル→ラッカーの順に使用するという点です。
塗料をフィギュアに乗せる順番を間違うと、先に塗った塗料が溶け出す危険性があるので、注意してください。
筆塗りの基本
筆は小サイズ、細サイズ、極細サイズと揃えておくと安心です。
基本的には筆を立ててフィギュアにあてれば細い線が、筆を倒してフィギュアにあてれば太い線が描けます。
筆の色を変える場合は、筆拭き用のキッチンペーパーであらかた色を落としてから、ブラシウォッシャーで洗浄するとウォッシャー液が汚れにくくなり、液の交換の手間が減ります。
筆のタッチなどは、先にご紹介したMAマンさんの動画がわかりやすいので、ぜひ参考にしてみてください。
フィギュアのリペイントの大まかな手順
フィギュアをリペイントするにあたって、大まかな手順としては以下の通りです。
- フィギュアの汚れ・べたつきを落とす
- 線入れ・ハイライト入れ・影入れをする
- トップコートで仕上げる
フィギュアの汚れ・べたつきを落とす
意外と忘れがちですが、重要になるのがこのリペイント前のフィギュアの処理です。
もちろんフィギュアが新品であったり、汚れていなければ必ずしも必要な作業ではありません。
しかし、もしべたつきや汚れがあるままフィギュアにリペイントをしてしまうと、色が乗らないばかりか、部分的に色が変色して見えてしまう可能性もあります。
そんなことにならないように、気になる場合はぜひ以下の方法でフィギュアの汚れ落としを試してみてください。
方法は以下の6つです。
- 中性洗剤
- 重曹
- セスキ炭酸ソーダ
- アルカリ電解水
- マジックリン
- ベタトルV
詳細は過去の記事に詳しく載せているので、あわせてご確認ください。
線入れ・ハイライト入れ・影入れをする
フィギュアのべたつきや汚れが取れれば、次に行うのはリペイント作業です。
アニメやマンガには当たり前のように入っている「線」。
その線を3Dフィギュアに入れていくことで、2Dフィギュアに寄せていくことができます。
こちらもMAマンさんの動画を参考にさせていただきました。
このように、どんどん線を加えていきましょう。
最初の慣れないうちは、アニメのイラスト画像を参考に線を入れていくとわかりやすいですよ。
またハイライト入れと影入れに関しては、実際にフィギュアに光を当ててみると入れやすくなります。
トップコートで仕上げる
フィギュアのリペイントが終わったら、必ずトップコートで仕上げましょう。
トップコートとは、一番最後の仕上げにクリアー塗料を塗装するような事を言い、そうすることで
などの効果があります。
トップコートは大きく3つに分類されます。
- ツヤ消し
- 半ツヤ
- ツヤあり
基本的には好みに合わせて変えていいのですが、フィギュアの一番最後にリペイントした塗料によってトップコートは水性かラッカーかに分かれます。
もし購入する場合はここまで確認が必要です。
以下の表では、各塗料とトップコートの相性をまとめているので、ぜひご参考ください。
水性トップコート | ラッカートップコート | |
ラッカー塗料 | × | 〇 |
水性エナメル塗料 | 〇 | × |
アクリル塗料 | 〇 | × |
フィギュアリペイントの違法性や留意事項
フィギュアの「アニメ塗り」の違法性とは?
フィギュアの「アニメ塗り」において、注意したいのは「著作権」です。
基本的に、個人で楽しむ分には何も問題はありません。
問題になってくるのは、そのリペイントフィギュアを販売する場合です。
実はリペイントフィギュアの販売が著作権に抵触するかどうか、それを明確に定義されたものはなく、グレーゾーンになっているのが現状。
もし販売目的で大量に製作すると、著作権における同一性保持権を侵害する可能性が出てきます。
ですので、もしリペイントに挑戦する場合は、個人の趣味の範囲内で楽しむのが安全でしょう。
一例として、魔改造フィギュアの販売で逮捕された件をご紹介しておきます。
利益目的で販売を始めると、いつどこで、誰に訴えられるかわからない、明確な基準がないのが現状です。
フィギュアリペイントで儲ける方法とは?
通常のフィギュアよりも付加価値をつけて販売できるというメリットがある一方で、基本的にはリペイントフィギュアを買取不可としている店舗が大半を占めています。
それはやはり著作権侵害のリスクもあるからです。
メルカリでは、サイト内でリペイントフィギュアは出品できないと明言しています。
そんな中、リペイントフィギュアの販売が多いのはヤフオクです。
1円~数万円と幅広い価格でリペイントフィギュアが販売されています。
ただあまりにも元のフィギュアとかけ離れたリペイントを施してしまうと、それも著作権侵害にあたる可能性も出てくるので注意が必要です。
リペイントフィギュアの販売が広がっていくと相対的にそれを撲滅する運動も起きてくるので、ルールが厳しくなっていくと予想されます。
基準が明確に定められていない以上、リペイントフィギュアの販売はあまりお勧めできません。
その代わりに、もし今回リペイントを初めて見て、興味がわいてきたら、副業としてリペイントのお仕事を引き受けてみるのはいかがでしょうか?
現在クラウドワークスやランサーズなどでは、定期的にリペイントのお仕事が募集されています。
個人的にリペイントしたフィギュアをポートフォリオとしてSNSなどにアップしておけば、完成品のクオリティをみて依頼をされることも出てくるでしょう。
もしリペイントフィギュアを販売目的で制作していきたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回はリペイントの1つであるフィギュアの「アニメ塗り」についてご紹介してきました。
初見だどどうしても初心者にはハードルの高そうなリペイントに思えますが、使用する道具もシンプルで、感性のままに色を乗せていくことで気軽に楽しむことができるのが魅力です。
また、現在「アニメ塗り」に注目があつまっているおかげか、様々なSNSや書籍が増え、初心者でも気軽にリペイントを楽しめる環境が整ってきています。
今までお伝えしてきたように、フィギュアはリペイントすることで様々にその表情を変えるだけではなく、色あせてしまったフィギュアはまた新品のように色鮮やかに蘇らせることも可能です。
ぜひこの記事を参考に、今注目を集めている「アニメ塗り」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
過去の記事では、組み立てから塗装まで楽しめるガレージキットのご紹介や、塗装の依頼ができる業者についてご紹介しています。
フィギュアの塗装は自分で楽しんでもよし!依頼してクオリティの高いフィギュアを手に入れてもよし!と、楽しみ方は無限大です。
ぜひフィギュアの新たな可能性を見つけていただければ幸いです。
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